アレンジ一覧
吹奏楽アレンジ:たかひろ / MIX&マスタリング:ruha / 動画:かすみね
舞台はソル・クラスタのとある地方都市。
町の市民楽団『Hymmne an Fhyu』(ヒュムネ アン ヒュフ)で、
トランペットを吹く第四世代レーヴァテイル、『霞音・イェールベルクリューンカ』が、
平穏な日常の中で出会ったのは、現代では極めて希少なβ純血種、『瑠芭・フォールスウィルラ』。
とある教団によって遺跡から発掘され、次期聖女として期待されていたが、
詩魔法を使えないばかりか、教団にとっては邪神とも言える存在だと発覚し、その後封印され、
再び目覚めた際も、孤独のまま残りの寿命をひっそりと終わらせようとしていた。
しかし霞音は、『詩魔法を使えないことが原因でそんな目に合うなら歌おう』と、瑠芭を自身の楽団へ誘う。
そこで出会ったものは彼女の心に共鳴し、やがて『謳う』から『歌う』へ、そして奏でる喜びを知っていくのであった。
イラスト:とらた
こちらでは、各ヒュムノス吹奏楽アレンジのスコアや、歌唱に使用した譜面を無料配布中です。
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発達した波動科学によって、詩魔法が必要なくなった遥か未来の惑星『アルシエル』。 そんな時代に目覚めさせられてしまったβ純血種レーヴァテイル、『瑠芭・フォールスウィルラ』は、静かに寿命を迎える時を待とうとしていました。
封印から目覚めたある日、偶然にも近くの町の市民吹奏楽団でトランペットを吹いているという『霞音・イェールベルクリューンカ』に出会います。
彼女は瑠芭に今は詩魔法そのものはないけれど、かつて謳われた詩魔法を音楽として表現する『エクラエクストラクト』というものがあることを教えます。
本来の詩魔法のような強い力はなくても、その音は瑠芭の灰色に塗り固められていた心に共鳴し、自身もそのエクラエクストラクトを歌い奏でながら、この時代を生きていくことを決意させていきました。
目覚めてから止まっていた瑠芭の時間や世界が再び動き出し、現代のアルシエルの大地を踏み出していく姿にも重なるような、優しくも力強い吹奏楽アレンジ。
エクラエクストラクトの多くは、詩魔法という背景から、声楽によって再現されるのが主流のように思えますが、特に【EXEC_CHRONICLE=KEY/.】は、器楽アンサンブルの定番としても幅広く知られており、高い演奏効果が期待できそうです。
町の市民楽団『Hymmne an Fhyu』では、コンサートマスターのクラリネット奏者が率いる有志たちで結成された、木管五重奏団が楽曲を演奏しているようです。
まだ楽器を初めて日が浅い『瑠芭』は、その音を聞きながら、いつかアンサンブルに参加したり、果てはソロなども……という漠然とした憧れを持っていました。
後日、瑠芭はフルートの首席奏者にそのことを話すと、「アンサンブルは技術力も重要だけど、一番大切なのはその先のどうその曲を表現するかなんだよね。技術力だけあっても、譜面の再現しかできないけど、歌う心があればその曲の魅力を何倍にも引き出せるし、あとはその曲の背景とか、他の奏者と楽器で会話をするイメージとか。 こればっかりは好みの問題だから上手く説明できないけど」と、首席奏者が熱く語ってくれました。
しかし、瑠芭にとって確実にわかることは、まだその時ではないということで、安定して吹けるようにするための息の使い方など、基本を学ぶ日は続きそうです。
器楽アンサンブルによるエクラエクストラクトは、どちらかと言えば木管の方が適正が高いと思われがちで、実際金管アンサンブルによる形式は数こそ少ないものの、その響きは印象的なものであるかもしれません。
『Hymmne an Fhyu』でトランペットを担当している『霞音』は、過去にお蔵入りになったエクラエクストラクトで使えそうなものはないかと、アカデミーの吹奏楽部時代からの後輩で、一緒にアンサンブルを構成している、チューバの『貴比呂』と、その同期でホルンの『魅鈴』を誘って楽団の倉庫を探すことに。
「かすみ姉先輩。この曲どうでしょう」使われていない古い楽器や、詳細不明の珍品が転がる倉庫で魅鈴が見つけたのは、合唱のために書かれた古びた楽譜。
「惑星の意思の神殿が中心にあるこの町でやるには、何となくお蔵入りになった理由もわかりますが、この曲想なら金管アンサンブルになるかもしれません」「とりあえずやってみるしかない。ねぇ貴比呂、とりあえず試作頼める?オリジナルの方だいぶきついし、なるべく骨の折れる譜面にならないように」「楽譜係の力を披露しましょう」 こうして【EXEC_COSMOFLIPS/.】は演奏可能な形になりそうです。
町の神殿の修道院にて、巫の見習いとして住み込むことになった『瑠芭』は、自室で渡されたある楽譜を見ながら、途方に暮れていました。
事の始まりは1時間ほど前、1日の務めを終え、Hymmne an Fhyuの奏者でもある先輩の巫たちと歓談していた時、突如入ってきた楽団のボイストレーナーを務める巫の長から 「次の定期演奏会のエクラエクストラクトの1曲で、瑠芭さんこのパートをお願いね」と軽く渡された楽譜。
ページ数が多い気がしたものの、いつも通りの比較的簡単なコーラスパートかと思い確認しました。『 "~Solo Revatail~"』パート名を見て最初間違えて渡されたのかと確認しましたが、「最近瑠芭ちゃんなかなか様になってきたところだからね。ここらで一つ飛び抜けてみてもらおうかと、指揮者と相談してみたらこうなったの」 どうやら間違いはないようです。
「いけるいける。次の練習からじっくりやっていけば」「おー。瑠芭ちゃんの歌姫姿が遂に見れるのね。これは全力でコーラスを歌わないと」「今回は瑠芭ちゃんが主役なんだからね」 先輩の巫たちが勝手に盛り上がっており、完全に取り残されているような気がしましたが、譜読みを始める事にしました。
各地方のオリジンの名を冠したヒュムノスを再編し、組曲形式にした古のエクラエクストラクト。奏でる者には『自身が詩になる』、そんな感覚を与えるでしょう。
瑠芭の初舞台であった定期演奏会を終え、『Hymmne an Fhyu』はしばらくの休暇を迎えていました。その間、来年開催されるという、5年に一度の神殿の祭りで演奏される、町のアカデミーの吹奏楽部や、合唱部との合同エクラエクストラクト用の楽曲の選曲会議が開かれることになり、気になった彼女も参加してみることに。
選曲会議の日、今回の演奏は、メタ・ファルス政府の公式エクラエクストラクトとして公開されている【EXEC_METAFALICA/.】の吹奏楽版に決まりつつありました。その後メタ・ファルス軍楽隊による、演奏の参考音源が流されましたが、それを聞いた瑠芭は、自身の中に旋律が生まれてくる不思議な感覚に気づきました。
瑠芭はその浮かんだ旋律を歌いました。「これってもしかしてパスタリエ?でも、瑠芭さんどこでそんなのを」「演奏を聴いてから、この旋律が浮かんできて、なぜか歌わざるを得なくなってしまって。でもこんなことは初めてです。この詩は【METHOD_METAFALICA】という名前のようです」「もしかしたらこれって……」
団員の一人がテレモ※で調べたところ、メタファリカ生成の民話で、2つの詩魔法が組み合わされていた、というものがあり、その1つが【EXEC_METAFALICA/.】であること、そしてそれを支える詩があり、2人の御子がそれぞれを謳った、という内容でした。※地球におけるスマートフォンのようなもの
「もしそれがもう1つの詩なら、この2つを合わせれば、民話の再現をイメージした、壮大なエクラエクストラクトになるのでは」その場の誰もがなんとしても演奏したい、と興奮気味になっていました。「楽曲はこちらで決まりですね」「題名は民話の通りなら【EXEC_with.METHOD_METAFALICA/.】ですが、ここは模倣されたという意味を込めて、【LORE_EXEC_with.METHOD_METAFALICA/.】の方が混乱しないかもしれないですね」
それから1か月後、瑠芭や楽譜係たちの奮闘によって何とか形になり、各パートに楽譜が配られました。瑠芭は指揮者から、またしてもソロとして『澪の御子』を頼まれましたが、定期演奏会の【謳う丘】を乗り越えただけあって、今回は動揺することなく楽しめそうです。そして最初の合奏の日、瑠芭はもう一人のソロである、『焔の御子』が誰であるかも楽しみにしていました。それは……